平和構築の文脈で実施される治安部門改革(SSR)において、国際社会による外部関与が、関与を受ける国や地域の治安制度の変化にいかなる影響を与えるのか、またそのメカニズムについて理論と実証の両面から明らかにするという本研究の目的に照らしあわせ、最終年度となる平成26年度は、まず、実証面の研究として、本研究で取り扱う2つの事例(東ティモール・コソボ)のうち、昨年度までに検証が終了していなかったコソボの事例を研究対象として本格的に分析に取り組んだ。具体的にはコソボの事例について、昨年度に引き続き文献・情報収集や先行研究からの分析を進める一方で、同地のSSRに携わった関係者らへの聞き取りなどの調査を行いながら、警察制度の変化と外部関与の関連性について検証を進めた。また、東ティモールや他の紛争後地域での事例との共通点と相違点についての分析を通して、様々な形態の警察制度構築の分類を行った。 次に、理論面の検証として、以上の実証研究を踏まえながら、分析枠組みの修正、加筆を行った。特に本年度は、United States Institute of Peace(USIP)等のシンクタンクやハーバード大学、コロンビア大学などの米国大学の研究会に出席して、平和構築や同分野に関連した研究を行う世界各国の研究者や実際にSSRに携わる実務家らと意見・情報交換をし、本研究についてのコメントや資料を得られたことは大変有意義であったと考える。
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