研究課題/領域番号 |
24730154
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 准教授 (50580776)
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キーワード | 冷戦史 / ドイツ外交 / 東方政策 / 国際関係論 / 外交史 / 国際政治 / ヨーロッパ政治 / 国際情報交換 |
研究概要 |
2年目に入り、ドイツでの現地調査や関連資料などの収集を引き続き行った。2013年9月のドイツでの現地調査では、コブレンツの連邦文書館、ボンの社会民主党文書館、ベルリンの外務省文書館において未公刊一次史料の調査を行い、またボン大学図書館などで関連資料や文献の収集を行った。このドイツでの調査に加えて日本でも関連文献の収集及び分析に取り組んだ。 これらの現地調査や資料収集などに基づき、下記の「現在までの達成度」の項で述べるように大連立政権期の東方政策に関する時系列的整理に取り組む一方、研究実績としては次のような研究発表を行った。まず、当該研究テーマに関連して2013年9月にセルビア・ベオグラードの国際セミナーにて報告を行った。このセミナーの成果は論文集として刊行される予定である。次に2014年1月にドイツ現代史研究会の例会にて、大連立政権期に考案された外交構想を含む西ドイツ外交の分断克服への戦略に関する報告を行った。こうした研究発表と並行して、当該研究と時期的に重なるテーマを扱う冷戦史研究者の著作に関するコメンテーターとして報告し、同時期における西ドイツの東方政策を他の西側同盟国との関係の文脈で捉え直す点などで有益な示唆を得ることができた。 以上の研究発表に加えて、前年度に国際セミナーにて発表したテーマに関する英語での論考を公表した。そこでは、「研究目的」でも触れたように、大連立政権期にも見られるドイツの国際社会での自己主張に注目してヨーロッパにおけるドイツの役割について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の「研究実績の概要」の項で述べたように、研究計画に沿う形で、当該研究テーマに関する現地調査や資料収集などを行い、また関連テーマに関する研究発表を行った。資料収集については、前年度に現地の文書館で依頼した複写が許可されなかった理由がわかり、あらためて史料の複写を依頼することができた。本年度は当該テーマに関する現地調査を一度行ったが、これらを踏まえて最終年度に補完的な形で現地での調査を行う予定である。 こうした現地調査や資料収集などと並行して、大連立政権期の東方政策に関する時系列的整理にも取り組んでいる。まず「研究目的」で挙げた研究視座の一つである「外交交渉」に関して、近年発表された先行研究や、未公刊史料及び刊行されている外交文書などに基づいて、1966年から1969年の東方政策の時系列的な整理を行っている。またこれも研究視座の一つである「政党政治」について、大連立政権を構成するキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の二大政党の党内の意思形成過程に関する資料収集を行い読み進めている。そしてもう一つの研究視座である「国内政治」に関連して、いわゆる「1968年」に関する文献の収集などに取り組み、西ドイツ政府の東方政策との関係についても検討を進める予定である。以上の点から研究計画はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に向けて次のように研究推進方策を予定している。まず「現在までの達成度」の項で言及したように、過去2年の現地での資料調査などを踏まえた上でさらなる一次史料の収集など補完的な現地調査を行う。そして「研究目的」でも挙げた三つの視座を念頭に、収集した資料や文献の整理及び分析も進めていく。また過去2年の研究発表の際の意見交換などを通じて得た知見を最終年度の研究にフィードバックさせていく。以上の研究成果を共著論文集などの形を通じて発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた海外調査が別プロジェクトとの関係や校務等のため期間を少し短めにせざるを得ず、次年度の調査においてあらためて取り組むことにしたため。 最終年度にも予定されている海外調査において持ち越された課題をあわせて取り組む計画をしている。
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