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2014 年度 実績報告書

アジアの越境大気汚染をめぐるガバナンス─「緩やかな」制度間相互作用を中心に─

研究課題

研究課題/領域番号 24730158
研究機関熊本学園大学

研究代表者

宮崎 麻美  熊本学園大学, 経済学部, 講師 (60579332)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード国際関係論 / 国際政治学 / 東アジア / 大気汚染 / 酸性雨 / ネットワーク / 国際交渉 / 国際協力
研究実績の概要

本研究では、「アジア太平洋大気環境協働フォーラム」を構成する取り組みにある、①自発的な政治アクターの協力、②国際規範の共有、③合意形成の過程を、ネットワークの形成・変容の分析から明らかにする。
調査と分析から解明されたことは、まず、大気汚染問題というイシューによってネットワーク化した政府、国際機関、科学者、その他研究者といった異なるアクターが相互のつながりを深め、活動文書(Instrument)に合意したことである。その過程で、アクターのつながりは、2つの方向があった。一方で、「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク」でのハブとなる中心アクター(事務局、ネットワークセンター、日本)が調停役として、交渉参加への障害を持つアクター(インドネシア、マレーシア、韓国)の孤立を防ぐ役割を果たした。ハブ以外に、議長国としての十分な役割を果たしていたのはモンゴル、フィリピンであった。加えて、リソース・パーソンが議論の橋渡しに貢献していた。これらは後に、全参加国による活動文書の合意・署名へと結びついた。
他方、非協力の構図も解明された。先述のマレーシア、インドネシア、韓国、そして中国の位置である。ネットワーク内でアクターが孤立すると、交渉の固定化、合意への障害をもたらす。そのため、共通の努力が制限されてしまう。これがまさに現在の東アジアの大気汚染協力枠組みが抱える協力への課題である。この点はこれまで推論で指摘されてきたが、量的研究はなかったもので、本研究から初めて実証された。ネットワークの協力・非協力の構図を示すことは、今後の学術的な環境交渉研究の進展にも、東アジアの協力の政策提言へも大きく貢献することとなる。
分析結果や関連研究は日本国際政治学会やアメリカ国際政治学会で論文報告された。学会での議論をあわせて論文を修正しており、現在は日本語・英文論文ともに投稿の最終段階にある。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 学会発表 (2件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] “Japan’s Environmental Diplomacy at A Crossroads”2015

    • 著者名/発表者名
      Asami Miyazaki and Isao Sakaguchi
    • 学会等名
      International Studies Association (ISA)
    • 発表場所
      Hilton New Orleans Riverside, New Orleans, USA
    • 年月日
      2015-02-19
  • [学会発表] 「交渉における協力・非協力の構造:ネットワーク分析からみた東アジア酸性雨モニタリング・ネットワーク(EANET)」2014

    • 著者名/発表者名
      宮崎麻美
    • 学会等名
      日本国際政治学会2014年大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場、福岡県、日本
    • 年月日
      2014-11-15
  • [図書] ‘Japan’s Foreign Policy and Transnational Environmental Risk’ in Risk State: Japan’s Foreign Policy in an Era of Uncertainty edited by Sebastian Maslow, Ra Mason and Paul O’Shea2015

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki, Asami
    • 総ページ数
      22
    • 出版者
      Ashgate
  • [図書] 「水銀問題のグローバル化─条約交渉までの取り組みから」神余隆博、星野俊也、戸崎洋史、佐渡紀子編『安全保障論─平和で公正な国際社会の構築に向けて』2015

    • 著者名/発表者名
      宮崎麻美
    • 総ページ数
      26
    • 出版者
      信山社
  • [備考] Webpage of Asami Miyazaki (Linkedin)

    • URL

      https://jp.linkedin.com/pub/asami-miyazaki/39/543/b39

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公開日: 2016-06-01  

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