研究課題/領域番号 |
24730166
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安部 浩次 大阪大学, 社会経済研究所, 助教 (40582523)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 理論経済学 / 情報の経済学 |
研究概要 |
情報共有と情報統制は現在のネットワーク社会を語る上で欠かせないキーワードとなっている。この現状を鑑み、本研究は「複数の個人の意思決定が絡み合う状況で、それら意思決定者すべてに公表される情報(公的情報)がある場合に、特定の意思決定者にとってその情報が価値を持つかどうか」を検討することが目的である。 今年度は文献によるサーベイ研究を実施したことに加え、研究課題のための簡素な数理モデルを作成し分析を試み、その結果を複数の学会・コンファレンスで行った。 作成した数理モデルは、社会的ジレンマに直面する特定社会において、人々が持ちうる公平感についての多様性に関する公的情報が、ジレンマ解消にどのように機能するかを調べるモデルである。この研究は、人類が直面する最も大きな課題の一つである社会的ジレンマの解消に行動経済学の手法を用いて明示的にモデル化された公平感の多様性に関する公的情報がどのように価値を見い出すかを検討したという点で意義がある。モデル分析の結果、公的情報を記述する多様性に関する事前分布の形状次第で社会的ジレンマが内生的に発生する協調行動の連鎖によって解消されることがあることを示した。そして本研究では続けて、このような協調のダイナミクスがモデルのパラメータの変化に対し、どのように変わっていくかを検討した。 研究報告は、国際計量経済学学会北米大会、国際ゲーム理論学会世界大会、国際計量経済学学会欧州大会の経済理論界を代表する3つの国際学会のほか、ゲーム理論ワークショップ2013など国内を代表する複数のコンファレンスに参加することでなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では今年度は研究成果を報告する段階まで進むとは思わなかったが、研究課題に多面的にアプローチした結果、そのうちの一つが計画以上に前進し、その成果を国際学会で報告できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に研究課題に多面的にアプローチする。 今年度に前進した社会的ジレンマと公的情報に関する研究に加え、インセンティブ設計問題における公的情報の価値に関する研究を進める。 具体的な研究課題ごとに、文献によるサーベイ研究、研究枠組みの作成・検討、理論分析、数値計算、実験室実験と可能である限り多面的に分析する。 学会参加による情報収集・成果報告を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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