研究課題/領域番号 |
24730166
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
安部 浩次 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (40582523)
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キーワード | 理論経済学 / 情報の経済学 / 実験経済学 / 行動経済学 |
研究概要 |
「複数の個人の意思決定が絡み合う状況で、それら意思決定者すべてに公表される情報(公的情報)がある場合に、特定の意思決定者にとってその情報が価値を持つかどうか」を検討するという本研究課題に対して、平成25年度は文献によるサーベイ研究を引き続き実施した他に、主に次の4点が研究実績としてあげられる。 (1)前年度から引き続いて公平感に関する公的情報とリーダーシップによる社会的ジレンマの解消を関係付けた研究をすすめた。前年度の研究報告に対して与えられたフィードバックもとに改訂し、改訂版を一橋大学で開催されたリーダーシップコンファレンスで報告した。海外からリーダーシップ研究の第一人者が参加したこのコンファレンスで研究報告を行うことで研究発信と研究ネットワーク作りの両側面から意義の高い研究報告となった。 (2)チーム環境において自信を持ったリーダーの率先垂範行動という公的情報がチームに効率的な結果をもたらすことを研究した。この研究はどのような公的情報がチームに効率性を導くのかという重要な問いに理論・実験の両側面から接近している。この研究を国際経済科学学会のアジア太平洋大会で報告した。実験研究の第一人者が多く参加したこの学会で研究報告を行うことで、貴重なフィードバックを得た他、新たな研究ネットワークを作ることができた。 (3)典型的に、情報価値研究は時間を通じた意思決定を研究することでなされる。基礎研究として研究した誘惑と自制に関する動的意思決定理論に関する研究を日本の行動経済学研究の第一人者が参加したコンファレンスで報告した。 (4)研究成果の一つを横浜経営研究にまとめた。インセンティブ設計が公的情報に依存する場合に、契約設計を容易にするという意味で、公的情報を生成する情報システムの価値を研究した。どのような情報が公表されやすいかについて示唆を与える意義ある研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題への多面的なアプローチの一つとして当初は契約理論の経済実験研究を行う予定であったが、予定していた実験計画に問題があることがわかったために実験を取りやめることにした。しかしながら、その他のアプローチの進展により複数の研究に関して国内外で研究成果発信をでき、研究課題の遂行は順調であると判断できる。また、チームにおける率先垂範行動に関する研究を国際経済科学学会に参加し報告できたことで、実験研究の最先端に触れることができた。これにより実験計画を練り直すためのヒントを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に研究課題に多面的にアプローチする。 ただし、最終年度である平成26年度は、特に、査読付き国際学会での情報発信と研究成果の国際査読誌への投稿をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究内容の研究計画からの修正に伴い406円の残金が発生した。 物品費、学会参加費・旅費、英文校正費などの研究課題への多面的アプローチに必要となる予算のいずれかで調整することで残金406円を使用する。
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