研究課題/領域番号 |
24730171
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
奴田原 健悟 専修大学, 経済学部, 准教授 (30553672)
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キーワード | マクロ経済学 / 財政政策 / 資産価格 / 財政支出 |
研究概要 |
本研究計画は、金融市場に焦点を当てた財政政策の分析である。 とくに理論分析として、資産価格変動を考慮に入れた財政政策運営について分析を進めている。昨年までの分析により、資産価格が下落した際に景気刺激のために財政支出を増加させるような政策運営が行われると標準的なニューケインジアン確率動学一般均衡モデルでは、「均衡の非決定性」という理論的問題が生じ、マクロ経済の安定性が損なわれることが明らかになっていた。平成25年度は、この分析結果をより精緻化することが大きな課題であった。具体的には様々なパラメータ値やモデルの定式化のもとで、資産価格変動を考慮した財政政策運営が均衡の非決定性を生み出すことを確認し、結果の頑健性を示した。また、同時にこのメカニズムの背後にある経済学的な直感も明らかにした。 加えて、上記の分析では理論的なモデルで考えているが、現実の財政政策運営も資産価格を反映させて行われていることを日本の四半期のマクロ経済データを用いた実証分析によって明らかにした。 以上の結果は"Asset Price Targeting Government Sending and Equilibrium Indeterminacy"というディスカッションペーパーにまとめた。また、この研究結果はMoney, Macro and FinanceやSingapore Economic Review Conference、International Institute for Public Policyなどの海外学会でも報告を行い、参加者から様々なコメントやアドバイスを受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究実績の概要にあるように、研究結果をディスカッションペーパーにまとめる段階にまで進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ディスカッションペーパーとしてまとめた"Asset Price Targeting Government Sending and Equilibrium Indeterminacy"を国内外の研究会・学会などで報告し、様々な研究者からコメントをもらうことでより精緻な分析になるようにする。また、海外英文査読雑誌に投稿し、採択されるようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究結果をまとめたディスカッションペーパーの改定に伴う英文校正費および海外雑誌の査読投稿料として支出するため。 研究結果をPolishするための研究報告を各地で行うための国内外の学会への旅費を支出する。またディスカッションペーパーを改定する際の英文校正費および海外雑誌への査読投稿料も支出する予定である。
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