| 研究実績の概要 |
本研究計画は、金融市場に焦点を当てた財政政策の分析である。
（１）昨年度に引き続き、資産価格変動を考慮した財政政策運営についての分析を行った。まず、日本の四半期データを用い、過去の日本の財政支出が株価に対して負の反応をとっていたことを明らかにした。また、価格の粘着性を考慮したニューケインジアンタイプの確率動学一般均衡モデルを構築し、財政支出が株価に負の反応をする場合、「均衡の非決定性」が生じやすくなり、経済が不安定化してしまうことを示した。この研究結果は、"Asset Price Targeting Government Spending and Equilibrium Indeterminacy"という論文にまとめ、The 2014 Asian Meeting of Econometric Society（Academia Sinica、台湾）の他、東京大学マクロワークショップ、一橋大学マクロ金融ワークショップで報告を行い、参加者から様々な意見をもらい、それをもとに直観や頑健性チェックなどの追加的な分析を行った。
（２）また、本研究計画で用いて分析ツールの開発の一環として、資産価格に反応する金融政策に関する分析を行った。とくに株価に反応する金融政策は「均衡の非決定」の原因となり、経済の不安定化要因になるのに対し、資本価格に反応する金融政策は「均衡の決定性」に貢献し、経済の安定化に寄与することを示した。この研究結果は、"What Asset Prices Should be Targeted by a Central Bank?"という論文にまとめ、Journal of Money, Credit and Banking誌に掲載された。
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