2013年度は、研究課題である1900年から20年代における日本と中国の経済思想交流史、とくに福田徳三と胡適や郭沫若、李大釗ら中国知識人の間にみられた思想的交流について、論文「福田徳三と中国知識人」を執筆、投稿し、『社会思想史研究』第37号(2013年9月)誌上に発表した。また、この時期における日中知識人の歴史的、政治的概念、具体的には「封建」と「民主」という用語の解釈、理解について、2013年7月におこなわれた日本経済思想史学会例会で、「「封建」と「民主」」と題し、報告をおこなった。例会では、日中両国の社会科学概念なに関する専門家も参加していたこともあり、報告内容を発展させてゆく上で、非常に多くの知見を得ることができた。 2013年度の後半は、こうした前半におこなった報告でえられた成果をもとに、福田徳三や堀江帰一と同時代に活躍した経済学者である高橋誠一郎について、調査、研究を実施し、論文を執筆、投稿した。これは、2014年3月付発行の『日本経済思想史研究』第14号に掲載される予定である。また、福田、堀江、高橋とともに、黎明会で活動した今井嘉幸と、李大釗をはじめとした中国知識人の交流について、2014年1月におこなわれた孫文研究会冬季例会で、「今井嘉幸と中国知識人」と題し、報告をおこなった。これも、2014年度中に活字化し、公表する予定である。 2013年度の主な研究実績は、以上のとおりである。2012年度に実施した資料調査や海外シンポジウムでの発表などの成果をもとに、研究機関全体を通じ、当初かかげた「研究の目的」、「研究実施計画」をおおむね達成することができた。
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