研究実績の概要 |
最終年度には、5月のローマ第三大学での欧州経済思想史学会 (ESHET) における研究発表‘Nassau Senior, the Whig Government, and the Great Irish Famine’をもとに、「古典派経済学とアイルランド大飢饉」と題する研究論文を完成させ、勝田俊輔・高神信一・共編著『アイルランド大飢饉―ジャガイモ、「ジェノサイド」、ジョンブル』(刀水書房、2016年2月) の第4章 (pp. 91-119) として出版することが出来た。本研究「スコットランド啓蒙における道徳と市場経済の把握」から派生した研究トピックであり、文明の発展段階と経済学の関わりについて考察する上で、18世紀スコットランドだけに視野を限定することなく、19世紀アイルランドとの比較史の観点を導入することで、研究射程を拡げることが出来た。また9月には明治大学での国際学会 International Conference on Economic Theory and Policy にて、‘The Theological Language in Adam Smith: Providentialism and the Idea of an Invisible Hand’と題する研究報告を行った。5月の滋賀大学での経済学史学会では、Yutaka Furuya,‘James Steuart and the Ancient Economy’の司会を担当した。
夏季にはスコットランドへ赴き、出身校であるエディンバラ大学、およびスコットランド国立図書館 (NLS) にて、文献調査等を行うことが出来た。また指導教官であったNicholas Phillipson氏を、2017年に徳島文理大学で開催する経済学史学会第81回研究大会に特別招待講演者として招聘する企画を進め始めた。
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