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2015 年度 実績報告書

中東・GCC諸国におけるイスラム銀行の経営実態に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24730199
研究機関筑波大学

研究代表者

上山 一  筑波大学, ビジネスサイエンス系, 助教 (80626226)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードイスラム銀行 / GCC諸国 / 経営実態 / リスク管理
研究実績の概要

当該年度は、GCC諸国に展開するイスラム銀行の費用構造について、市場環境の変化への対応といった点から分析を行った。その研究成果について、国際学会にて発表を行った。具体的には、費用関数の推定を通じて、規模の経済性や範囲の経済性を計測した。そして、推定結果およびイスラム銀行への聞き取り調査の結果も踏まえ、イスラム銀行の財務体質がイスラム銀行部門の費用に与えた影響について評価した。
これら考察結果から、以下のような結果が明らかになった。通常の銀行よりも経営規模の小さかったイスラム銀行は、固定資産や設備の拡充による経営資源の拡大を通じて、イスラム金融手法による資金運用業務に積極的に取り組んできた。しかし、GCC 諸国のイスラム銀行部門では、規模の経済性を観察することができなかった。こうした結果の背景について、これまでの聞き取り調査の結果も踏まえ、①イスラム銀行部門全体における規模の経済性に対して、個別銀行や国といった特定の要因が負の影響を及ぼした可能性があること、そして②通常の銀行と比べた場合、イスラム銀行の経営規模は小さく、そもそも規模の経済を享受できる段階に達していないことが明らかとなった。また、範囲の経済性に関しては、その存在を確認することができなかった。その背景として、GCC諸国における金融制度がイスラム銀行による業務の多角化に向けた取り組みに対して何らかの負の影響を与え、例えば、特定の金融規制ないし金融制度がイスラム銀行にとって必ずしも望ましい内容とはなっていない可能性が示された。さらには、銀行の財務体質がイスラム銀行の費用に与える影響に関しては、財務体質の代理変数である総資産に占める自己資本の割合が上昇することは費用の上昇をもたらすことになった。その背景として、イスラム銀行部門の費用効率性が必ずしも高くない可能性があることが示された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] イスラム銀行利用者による金融商品の利用動機と継続的取引の決定要因-ヨルダンの事例から-2015

    • 著者名/発表者名
      上山一・臼杵悠
    • 雑誌名

      アジア経済

      巻: 56 ページ: 2-27

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Economies of Scale and Scope in the GCC Islamic Banks: About the Effects of the 2008 Financial Crisis2016

    • 著者名/発表者名
      Hajime Kamiyama
    • 学会等名
      The Middle East Economic Association 15th International Annual Conference
    • 発表場所
      Ritz Carlton Hotel, Doha (Qatar)
    • 年月日
      2016-03-24 – 2016-03-24
    • 国際学会
  • [図書] 変革期イスラーム社会の宗教と紛争2016

    • 著者名/発表者名
      塩尻和子(編)、板垣雄三、四戸潤弥、臼杵陽、辻上奈美江、菊地達也、吉田京子、青柳かおる、泉淳、植村清加、岩崎真紀、宮治美江子、池田美佐子、阿久津正幸、田浪亜央江、上山一
    • 総ページ数
      416 (384-400)
    • 出版者
      明石書店

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公開日: 2017-01-06  

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