本研究は、GCC諸国におけるイスラム銀行の費用構造について、同地域の銀行部門に共通して見られる特徴との関連において実証的に分析することを目的とする。 分析結果から、通常の銀行よりも経営規模の小さかったイスラム銀行は、経営資源の拡大を通じて、イスラム金融による資金運用業務に積極的に取り組んできた。しかし、GCC諸国のイスラム銀行部門では、費用面で、規模の経済性や範囲の経済性を観察できなかった。これら背景については、イスラム銀行の経営規模が小さく、規模の経済を享受できる段階に達していないこと、そしてGCC諸国の金融制度がイスラム銀行による業務多角化の取組に対して負の影響を与えた可能性が挙げられる。
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