研究課題/領域番号 |
24730202
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
西脇 雅人 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (80599259)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 政策評価 |
研究概要 |
近年、企業合併が増加の一途であり、本研究ではそうした企業合併について実証的厚生評価を行うためのモデルを構築することを目的としている。具体的には、動学的寡占モデルの枠組みを利用し、連鎖合併等近年頻繁に観察される事象を分析できる道具を開発する。そして、開発されたモデルを現実の合併事例に適用し、経済厚生分析及び合併認可の政策対応の事後的評価を実施する。さらに得られた知見を「実証的事実」に基づいた政策評価および合併事前審査の改善へと結びつける。 これまでの研究活動で、1)実証モデルの構築、2)モデルのパラメターの推計、3)推定されたパラメターを用いた合併シミュレーション及び政策実験を行うことができた。具体的にはセメント産業における合併を実証実験の場として取り上げ、企業の行動をモデル化し、現実のデータからモデルのパラメターを推計して、合併が起きた現実の市場と合併が起きなかった仮想的な市場を反事実実験によって比較した。その反事実実験により、セメント産業で起きた合併はシナジー効果を生み出し生産者余剰が増加したことが明らかになった。一方で、消費者余剰は合併による企業数減少に起因する価格上昇から損なわれた。全体では、消費者に対する反競争的な効果はあったものの,社会厚生が改善されたことが示された。ここで用いたモデルや推定方法は特定産業の分析のみに応用できるものではなく、汎用性の高いものとなっており、さまざまな合併事例の検証を可能にするであろう。 今後は、研究をより現実に即した形で完成させるために、研究成果を学術的な場だけではなく公正取引委員会などの政策当局でも報告し、政策的な観点からのフィードバックを得るようにし、実証モデルを広く政策分析・判断に利用可能にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請以前より取り組んでいる課題のため、やるべきことが明確でかつ目的達成のために必要なスキル等がすでにある程度備わっていたために順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究をより現実に即した形で完成させるために、研究成果を学術的な場及び公正取引委員会などの政策当局でも報告し、学術・政策双方からのフィードバックを得るようにする。また、実証モデルを研究者のみならず広く政策分析・判断に利用可能にする。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの研究成果を論文としてまとめる。そのためにまず、国内外の学会での報告を行う。さらに研究成果を国内だけでなく海外にも広めるために論文を英語で執筆し、専門学術雑誌に投稿する。これらを実施するために、国内外の学会参加及び英文校正のために研究費を使用する予定である。
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