補助事業期間の延長をして頂いた研究最終年度に当たる本年度は、研究目的の一つである、独占禁止法における課徴金制度の改正とリニエンシー制度の導入が、カルテル等の抑止、不安定化、探索コストの低下といった効果を持っていたのかを実証的な観点から明らかにした実証分析の成果を整理し成果と公表するために時間を費やす予定でいた。 成果をまとめるための作業と同時に、これまでの私的な研究会発表等を通じて得られた様々なコメントにより明らかになっていた分析におけるいくつかの欠点の修正を行っていたが、その修正に追加のデータ収集が必要となり、その入力作業期間が新たに必要となった。しかし、これまでのデータ入力作業を依頼していた人員が確保できず、自らデータの入力および整理を行わなければならなかったため、想定以上の作業時間がかかってしまった。結果的に分析は一定の進度を見せたものの、2016年度中に予定していた国際誌への投稿は現時点で実現できていない。ただし、2017年中にその成果をまとめるあげる事ができる段階にまでまとめる事ができた。 また自治体レベルでの研究については各自治体の要綱および要領から、独禁法違反あるいはその他の違反行為を行った企業に対して課される入札参加資格停止期間に関する規定を抽出・整理は完成させているものの、市レベルでの生産性データの構築が進んでおらず、自治体レベルの競争政策と生産性との関係性に関する分析からテーマを一部変更して、自治体レベルでの競争政策の強度が競争政策に関連する汚職活動に与える影響を明らかにしようとした。自治体の競争政策に対する取り組みの程度に関する経年データをコントロールすることが困難であり、必ずしも期待した成果を得ることはできていない。
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