研究課題/領域番号 |
24730214
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
藤井 孝宗 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (90317280)
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キーワード | 貿易論 / サービス貿易 / 運輸サービス / サービス・リンク・コスト |
研究概要 |
本年度は研究プロジェクトの2年目に相当するため、引き続き主に国際運輸サービスの自由化の実態を把握するための運輸サービスの国境間取引(サービス貿易)に関するデータベースの構築と各国制度に関する文献、資料調査を行った。これらにより得られた情報を元にして行った中間的な統計分析結果や調査結果は随時各種国際学会で研究成果として報告した。 これまでの調査、分析により、グローバル化の進展に伴い多国間にまたがる生産ネットワークが特に東アジア、ヨーロッパで緊密に形成されるようになってきており、その背景にフラグメンテーション理論で指摘されているサービス・リンク・コストの低下が大きく影響しているようにみえる、ということがわかってきた。サービス・リンク・コストとは、具体的には異なる国、地域に立地する生産工程間の様々なトランザクション・コストの総称であり、貿易障壁、輸送費、通信費用、コミュニケーションコストなど様々なものが含まれる。うち貿易障壁についてはすでに多数の文献で言われているとおり地域経済統合による貿易障壁の削減が生産ネットワークの拡充に影響を与えていることはまちがいない。さらに本研究で主題とする地域間の輸送サービスコストの低下についても、同様に生産ネットワークの拡大と立地の拡散に大きな影響を与えているように見える。ただし現状ではあくまでそのような傾向がありそうだ、というだけで厳密な因果関係の把握や統計的頑健性の確保には至っていない。またその関係性の背後にある原因については、国際旅客航空サービスの運賃低下が人の行き来を容易にすることによりコミュニケーションコストを低下させる、など多くのものが考えられるものの現段階では明確に特定できる段階には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究プロジェクトの2年目に相当するため、初年度の昨年に引き続き主に国際運輸サービスの自由化の実態を把握するための運輸サービスの国境間取引(サービス貿易)に関するデータベースの構築と各国制度に関する文献、資料調査を行った。これらにより得られた情報を元にして行った中間的な統計分析結果や調査結果は主に各種国際学会で発表を行った。どちらも研究開始当初作成した研究計画に予定されていたとおりのものであり、おおむね順調に推移しているととらえて良いのではないかと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2年間の文献、資料調査およびデータベース構築などの準備作業により、より本格的な分析を行う準備はある程度整ったと考えられる。次年度は4年間の研究プロジェクトの3年目に相当するので、これまで準備してきた内容を用いて具体的、本質的な統計分析を行う段階にある。分析により得られた知見は引き続き各種学会において発表し、そこでの議論を元に研究成果をより精緻化してきたい。同時にまとめた分析結果は随時専門ジャーナルなどに投稿していく予定である。
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