研究課題
本研究は、都市圏の社会経済活動における不確実性(災害、エネルギー・水資源の非都市圏への依存、財政基盤の変化等)に由来する都市の脆弱性に着目し、その対策としての経済主体の安全と安心を確保する社会資本整備の効率的な水準を明らかにするために、不確実性を明示的に採りいれた社会資本整備の経済的評価手法を提示することを目的とする。本年度は、主に2つの分析を実施した。第一に、Web調査による脆弱性の経済的評価の知見に基づき、脆弱性に関する社会資本整備の評価を、プロスペクト理論等の意思決定理論の精緻化によって改善するための知見としてまとめた。結果については、次の論文および著書に発表した。"Coping with Regional Vulnerability-Preventing and Mitigating Damages from Environmental Disasters-"(2015)Springer Japan.、地域学研究、45(3)、pp.272-292(2015)。第二に、実績概要で示した「2.不確実性下の都市規模に関する理論的検討」に基づき、都市雇用圏の集合的リスクに関する属性を社会資本の種類に応じて明らかにするため、各社会資本の事業評価マニュアルの検討整理を実施した。具体的には、国土交通省の「公共事業評価の費用便益分析に関する技術指針(共通編)」、「治水経済調査マニュアル(案)」、「道路事業・街路事業の費用便益分析マニュアル」を代表事例として、それぞれにおける「各種便益原単位の設定の考え方」におけるリスクの扱い、「防災事業のリスク評価」におけるリスク・プレミアムの扱いについて、厚生測度の種類および効果の範囲(都市雇用圏)の想定を検討した。結果については日本地域学会第52回年次大会(2015年10月)にて学会発表を行った。
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