• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

ネットワーク構造が選択行動の集積形成に及ぼす影響についての理論・実証分析

研究課題

研究課題/領域番号 24730216
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

伊藤 亮  名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30516000)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード取引ネットワーク / 租税競争 / FDI / Katz-Bonacich中心性
研究実績の概要

平成26年度においては、サプライチェーン・ネットワーク上の企業の立地選択について理論・実証分析を実施した。
第一に、理論分析においては、これらの企業の立地促進と法人税収入最大化を目的とした、地方政府の差別的な租税競争についての解析を進めた。またそのような競争がもたらす立地の非効率化を是正するための、地方政府間の税率の協調についても分析を行った。その結果、企業のKatz-Bonacich中心性の分散が大きなネットワークについては、より大きな政策介入が必要であることが示された。これらの結果は、国際的な査読付ジャーナルであるRegional Science and Urban Economics誌に投稿され、2014年に公刊された。
第二に、実証分析においては引き続き、日本の製造業11万社のデータを用い、取引ネットワーク上の各企業のKatz-Bonacich 中心性と、各企業のFDIとの間の相関について研究を進めている。本年度は、各企業が他企業のFDIを観察した場合の投資行動を考慮し、モデルを動学的に拡張した。拡張したモデルの分析結果によれば、各企業のFDIは、(元の静学モデルで得られていた)Katz-Bonacich 中心性だけではなく、投資済み企業に対するKatz-Bonacich accessibilityによる影響も同時に受けることが明らかとなった。得られた分析結果をデータにより実証したところ、上記の変数はいずれもFDIに対して有意な正の効果を示した。この結果は、FDIにおいて観察の効果は重要であるが、他方で観察をコントロールしたとしても、期待を表すKatz-Bonacich 中心性は依然として有意な影響を持つことを意味する。つまり、動学モデルの結果の新規性を示すと同時に、静学モデルの結論の頑健性が示された。これらの実証結果は、各大学の研究会等で部分的に報告している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2国間の租税競争に関する理論分析までを完了し、完成した論文は既に国際誌に掲載済みである。また実証分析についても、モデルの動学的な拡張とそれを支持する有意な実証結果が得られている。
以上から、当初に予定されていた分析はほぼ完了しており、論文の投稿や拡張部分の学会報告を実施するための準備は既に整っている。

今後の研究の推進方策

最終年度である27年度においては、実証分析の結果をまとめ、国際誌に論文を投稿する。また、昨年実施した拡張分析の結果を、国内外の学会で報告する予定である。これらを通じて論文の完成度をさらに高め、年度末には報告書を執筆する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Tax discrimination against inter-firm networks2014

    • 著者名/発表者名
      Ryo Itoh
    • 雑誌名

      Regional Science and Urban Economics

      巻: 49 ページ: 25-35

    • DOI

      10.1016/j.regsciurbeco.2014.07.011

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Impact of supply chain network structure on FDI: Theory and evidence2015

    • 著者名/発表者名
      Ryo Itoh
    • 学会等名
      5th Asian Seminer of Regional Science
    • 発表場所
      中国・ハルピン・Harbin Institute of Technology
    • 年月日
      2015-07-17 – 2015-07-20

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi