本研究では子ども数が親の主観的厚生に与える影響を世界価値観調査を用いて分析した。その結果、男性と女性では子ども数の満足度に与える影響や、理想子ども数を現在の子ども数が超過している割合が異なることが示された。さらに、福祉レジームの違いで子ども数が満足度に与える効果の男女間の格差や、超過理想子ども割合の男女間の格差が異なることも併せて示された。 一例を挙げると、北欧諸国などの社会民主主義国家では女性のほうが男性よりも子ども数が満足度に与える効果は高く、現在の子ども数が理想子ども数よりを超えている割合が低い。一方、NIEs諸国では女性のほうが男性よりも子ども数の満足度の効果が低く、子ども数と満足度には負の関係があり、男性よりも女性のほうが理想よりも現実の子ども数が多い人の割合が高いことが示された。 これらの結果、子育て負担の男女間の格差が存在し、さらに子育て負担の男女間の格差が福祉レジームごとに異なることが示された。
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