研究課題/領域番号 |
24730224
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
海老名 剛 東京理科大学, 経営学部, 助教 (00579766)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 立地-数量競争 / 立地モデル / ホテリングモデル / 厚生分析 / 合併 |
研究概要 |
本研究の主要な目的は,企業の立地選択に関する[1] 基礎理論を構築する,[2] 独占禁止法への応用を考察する,の2点である.また,研究実施計画によれば,平成24年度には,特に立地モデルに関する理論的枠組みを構築し,基礎的分析を行う予定であった. そこでまず,基礎的モデルを構築するに当たって,近年,着目され分析されている一方行ホテリング・モデルに関するサーベイを行った.従来の双方向ホテリングモデルでは,企業が立地点を選択した後,価格を決定し,それを見た消費者が,どの店舗から購入かを選択する,というものであった.このとき,消費者は,どちらの方向の店舗からも購入できるという点で,双方向モデルと呼ばれている.対して,一方向モデルでは,消費者は,一方向の店舗からしか購入できない.このモデルに関しては,一方通行の道路や運河,時刻のように戻すことができない飛行機や列車のタイムテーブルなど,広い範囲の応用例が挙げられる. 本研究では,一方向モデルの代表的な先行研究(Kharbach (2010, Economics Bulletin))と同様のモデルを設定し,その主要な結果に誤りがあることを指摘した.そのうえで,正しい結果を導出し,同雑誌にて発表を行った.Kharbachの論文は,一方向モデルの研究として,既に同分野の類似した論文に引用されている.この点を鑑みると,本研究は,今後,一方向モデルの研究が発展していく中で,重要な位置づけになると考える. また,これとは異なる観点から,異なる2つの地域に存在する企業が,合併することにより,各地の経済厚生にどのような影響を与えるか,に関して分析を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り,あるいは,当初の計画以上に進展していると考える.その主な理由として,上記の一方向ホテリングモデルの研究結果に関して,学術雑誌 Economics Bulletin から発表できた点,異なる地域に存在する企業の合併問題について,既に主要な結論を導いた上で,まとめることが出来た点,が挙げられる.後者の論文に関しては,Journal of Economics に採録済みであるため,2013年度に公刊される予定である.既に,同雑誌のウェブサイトでは,本論分が掲載されている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は,以下の通りである.25年度には,まず,立地競争の基礎的分析を完成させ,応用研究である独占禁止法との関連についてサーベイを行い,各国の独占禁止法の運用や凡例に関するデータを過去に遡って整理し,反独占政策の変遷と最近の傾向を明らかにする.当年度においては,研究の理論的・実証的な内容の主要な部分を完成させることに重点を置く.26年度には,24年度・25年度の研究を統合しながら,研究の成果を報告し,国内外に発信することに重点を置く.そこで,ミニ・コンファレンスを開催し,研究の促進を図るとともに,本研究の研究成果をまとめたものを研究書として出版する.
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度には,まず,立地競争の基礎的分析を完成させ,応用研究である独占禁止法との関連についてサーベイを行い,各国の独占禁止法の運用や凡例に関するデータを過去に遡って整理し,反独占政策の変遷と最近の傾向を明らかにする.当年度においては,研究の理論的・実証的な内容の主要な部分を完成させることに重点を置く. そのため,日本経済学会および日本応用経済学会に参加する.また,本研究と関連した研究者へのヒアリング,および打ち合わせを行う.このため,旅費が必要となる. 上記と関連して,研究会での打ち合わせおよび報告のため,ノートパソコンおよびその周辺機器を,資料を配布するためプリンターを購入する. 研究を進めるうえで必要となる和書,洋書を購入する. さらに,研究論文をよりよいものとするため,英文校正およびネイティブチェックを受けるための費用が必要となる.また,学術雑誌によっては,投稿する際に投稿料がかかるもの,掲載時に掲載料が必要となるものがあるため,これらの費用を必要とする.
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