研究課題/領域番号 |
24730224
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
海老名 剛 信州大学, 経済学部, 講師 (00579766)
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キーワード | 立地競争 / 独占禁止法 / ホテリングモデル / 社会厚生 |
研究概要 |
今年度の目標は,1.立地競争に関する理論モデルをより拡張し,さらなる分析を行う,2.独占禁止法に関するサーベイを行い,提言へ向けた準備を進める,3.実証的アプローチにより分析を進める,の3点である.当初の研究実施計画に基づき,平成25年度には,立地モデルに関する理論的枠組みを構築し,基礎的分析を行った. まず,1.と関連して,新たに時間を通じて立地を選択するモデルを構築し,分析を進めた.同論文を,首都大学で開催されたコンファレンス「組織ガバナンスと企業活動」にて報告した.また,これとは別に,費用が変化したときにどの程度価格に転化するかを表す指標である,パス・スルーを用いて,垂直的取引関係にある状況で,ある地域を独占している企業の立地・価格戦略および社会厚生について,研究を行った.同論文は,国際学術雑誌”Economics Letters”に採録され,同雑誌社のホームページに掲載されている. 2.の独占禁止法に関する知見を得るため,公正取引委員会競争政策センターが開催するセミナーに参加し,新たな知見を得た.また,独占禁止法において,例外的に再販売価格維持制度が適用可能となる書籍市場に関して,実証的な分析を行った. 3.については,上記[2]で記載した書籍市場のデータを用いて,論文を執筆した.これは,代表的な立地モデルであるホテリングモデルにおいて,企業の立地選択が,しばしば企業の製品差別化に関する選択と同様に解釈できる点から,将来,立地選択の研究へ応用可能となる基礎的位置づけとして重要である,と考える.同論文は,国際学術雑誌”Review of Socionetwork Strategies” に採択され,同雑誌社のホームページに掲載されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に進んでいると考える.その主な理由として,前年度に引き続き1.(【研究実績の概要参照】理論モデルの拡張とさらなる分析),および2.(独占禁止法への応用)に関して,企業の立地および価格戦略関する基礎モデルを構築したうえで,さらなる分析を行い,国際学術雑誌に掲載された点が挙げられる.さらには,および3.(実証分析)として,日本国内の書籍市場に関する分析を行い,国際学術雑誌と国内学術雑誌それぞれに1本ずつ掲載された点が挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究実施計画に基づき,平成26年度には,1.24年度・25年度の研究を統合しながら,2.研究成果を報告し,それを国内外に発信することに重点をおく.1.として,理論モデルのさらなる発展,および,独占禁止法への応用,実証分析を行う.ただし,時間の制約があるため,2.に重点的に取り組む.2.として,既に,平成26年6月にギリシャにて開催される国際学会”6th International KES Conference on Intelligent Decision Technologies”での報告に対する採択が決まっているため,同学会にて報告を行う.また,国内の学会にて,報告を行う予定である.さらには,コンファレンスを開催し,研究の促進を図るとともに,本研究プロジェクトの研究成果をまとめ,報告する予定である. これとは別に,国際学術誌への投稿を行う.既に,平成25年度中に国際学術誌へと投稿し,改訂要求がなされている論文が2本存在する(”Journal of Media Economics”,”AI & Society”).まずは,この要求に対する改訂を進め,採択されることを目指す.加えて,今年度中に新たなる論文の執筆および投稿を行い,最終的な発表を目指す.
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