企業の立地選択に関する理論の構築,独占禁止法への提言,の2点を行った.1点目として,消費者が一方向に移動できる一方向ホテリングモデルを構築し,先行研究が導出した均衡が誤りである点を指摘した.また,立地空間を製品空間と解釈することで,日本の書籍データを用いて,消費の外部性があるもと,どの属性がどの程度,価格や利潤に影響を及ぼすかを推定し,シミュレーションを行った.2点目として,一方向補完財を生産する企業間の合併に関して分析を行った.従来の競争政策上の帰結と異なり,合併が消費者余剰に負の影響を及ぼす可能性を指摘した.最後に,垂直的市場の企業結合に関して,新たな消費者余剰の測定方法を提案した.
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