労働需要と雇用区分の複線化を考察する上で、企業間生産網形成(特に東南アジア)への理解が不可欠であるとの認識を得た。具体的成果として、(1)新製品開発と生産管理技術改善のための資源配分問題に内在する緊張関係を緩和するような経営管理手法の特定が必要であること、(2)新興国が自国に生産網の一部を誘致しようとする場合、販売先と同時に調達先も国際化する必要があり、組織革新への投資が必要であること、(3)企業内外の資源の間の補完性を明らかにすることは企業内部の雇用区分設計だけでなく外部環境の役割を評価していることがあげられる。国内から国外に生産網を広げてきた日本企業と日本の労働市場の複線化への含意を持つ。
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