• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

ロシアにおける不平等の規定要因に関するミクロ計量分析:労働市場と社会保障

研究課題

研究課題/領域番号 24730237
研究種目

若手研究(B)

研究機関一橋大学

研究代表者

武田 友加  一橋大学, 経済研究所, 講師 (70376573)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードセーフティネット / インフォーマル就労 / 農村経済 / 貧困 / 格差 / ロシア / 家計調査 / ミクロ計量
研究概要

本研究の目的は,1990年代の移行不況から脱した後,2000年代に10年ほど持続的な経済成長が続いた一方で,依然として高い不平等度が維持されているロシアの不平等のメカニズムを解明することである。
初年度にあたる平成24年度は,ロシアにおける不平等のメカニズム解明の第一歩として,農村家計のインフォーマル就労(個人副業経営)に焦点を絞り研究を進めた。この研究の一部として,所得ショックに直面する場合,特に,農村貧困家計が個人副業経営のセーフティネット機能を強めることを,地域レベルの代表性をもつロシア家計調査(政府統計)の個票データを用いて,実証的に明らかにした。既存研究により,動学的な貧困の罠のモデルが仮定する低位均衡がロシアでみられないことが発見されていたが,その調整機能の正体は明らかにされていなかった。本研究の最も重要な意義は,この調整機能の正体がインフォーマル就労(個人副業経営)であることを実証的に示したことである。また,多くの既存研究が個人副業経営の地域的多様性について言及しており,従って,こういった地域性を十分に考慮した上で分析を行うことが重要であると考えられた。しかし,これまで,地域の多様性を十分にコントロールした分析は存在していなかった。本研究のその他の意義の一つは,この問題をクリアするために,地域レベルの代表性をもつロシア家計調査を用いて実証分析を行っている点である。
本研究の成果は,査読付き学術誌や研究集会等で発表された。また,ロシア貧困・不平等に関する本研究の成果の一部は,応用研究として,カザフスタン最低生存費の研究へと発展し,カザフスタン共和国の最低生存費改訂の際に利用された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

初年度である平成24年度には,文献収集,データの精査,試験的分析が中心的作業になると考えられたが,当初の計画以上に研究が進み,その研究成果を学術誌や研究会等において発表することができた。

今後の研究の推進方策

今後は,農村家計のインフォーマル就労だけでなく,さらに,研究対象を都市の家計経済に広げ,大規模家計調査の個票データに基づき,ロシアにおける不平等と非正規雇用について試験的分析を進める。これらの実証研究の成果は,比較分析の観点から,日本における不平等のメカニズムの解明の一助になることも期待される。その他,研究成果の英文雑誌への投稿,及び,国際学会での報告を計画している。

次年度の研究費の使用計画

該当なし。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 「擬似的社会政策としてのインフォーマルなセーフティネットの補足性:ロシア農村の個人副業経営に関する実証分析」2013

    • 著者名/発表者名
      武田友加
    • 雑誌名

      日本国際問題研究所編『平成24年度ロシア研究会中間報告書 ロシア政治システムの変容と外交政策への影響』日本国際問題研究所(近刊,所収)。

      巻: ― ページ: 49-58

  • [雑誌論文] "Poverty lines in Russia"2012

    • 著者名/発表者名
      Yuka Takeda
    • 雑誌名

      ILO, ed., Methods for Estimating the Poverty Lines: Four Country Case Studies, Moscow: ILO.(所収)

      巻: ― ページ: 65-80

    • 査読あり
  • [雑誌論文] “Measurement methodology of the subsistence minimum in Kazakhstan and its problems”2012

    • 著者名/発表者名
      Yuka Takeda
    • 雑誌名

      ILO, ed., The Methodologies of the Subsistence Minimum Determination in Kazakhstan: the Ways and Approaches to Improve, Moscow: ILO.(所収)

      巻: ― ページ: 14-25

    • 査読あり
  • [雑誌論文] “Relative poverty line”2012

    • 著者名/発表者名
      Yuka Takeda
    • 雑誌名

      ILO, ed., The Methodologies of the Subsistence Minimum Determination in Kazakhstan: the Ways and Approaches to Improve, Moscow: ILO.(所収)

      巻: ― ページ: 42-44

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「ロシア農村における個人副業経営のセーフティネット機能:ロシア家計調査の個票データに基づく実証分析」2012

    • 著者名/発表者名
      武田友加
    • 雑誌名

      『経済研究』

      巻: 63(4) ページ: 305-317

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「ロシア農村におけるインフォーマル就労と農外雇用:経済成長下での個人副業経営の役割の変容」2012

    • 著者名/発表者名
      武田友加
    • 雑誌名

      野部公一・崔在東 編『20世紀ロシアの農民世界』日本経済評論社(所収)。

      巻: ― ページ: 339-361

    • 査読あり
  • [学会発表] Garden plots as an informal safety net in rural Russia: Recovering from an income shock

    • 著者名/発表者名
      Yuka Takeda
    • 学会等名
      The Pacific-Rim Economies: Institutions, Transition, and Development
    • 発表場所
      ソウル大学(大韓民国・ソウル市)
  • [学会発表] The subsistence minimum in Kazakhstan: towards improving its measurement methodology

    • 著者名/発表者名
      Yuka Takeda
    • 学会等名
      2nd Tripartite Roundtable on Reviewing the Measurement Methodology of Subsistence Minimum in Kazakhstan
    • 発表場所
      カザフスタン労働省(カザフスタン共和国・アスタナ市)
    • 招待講演
  • [学会発表] 「ロシア農村における個人副業経営のセーフティネット機能:ロシア家計調査の個票データに基づく実証研究」

    • 著者名/発表者名
      武田友加
    • 学会等名
      日本国際問題研究所ロシア研究会「ロシアの政治システムの変容と外交政策の影響」
    • 発表場所
      日本国際問題研究所(東京都)
  • [学会発表] 「ミクロ計量アプローチによる移行経済下ロシアの貧困分析」

    • 著者名/発表者名
      武田友加
    • 学会等名
      日本政策投資銀行設備投資研究所ロシア・東欧研究会
    • 発表場所
      日本政策投資銀行設備投資研究所(東京都)
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi