研究課題/領域番号 |
24730241
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
荒戸 寛樹 信州大学, 経済学部, 講師 (90583518)
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キーワード | 情報公開政策 / 金融政策 / 流動性の罠 |
研究概要 |
平成25年度は中村友哉氏との共著論文 Endogenous Alleviation of Overreaction Problem by Aggregate Information Announcement を査読付学術雑誌 The Japanese Economic Review に刊行し、1本のディスカッションペーパー Endogenous Information Acquisition and Partial Announcement Policy (堀健夫氏、中村友哉氏との共著)を完成させた。 論文 Endogenous Alleviation of Overreaction Problem by Aggregate Information Announcement は、中央銀行をはじめとした政策当局の望ましい情報の公開方法について考察した論文である。本論文において我々は、民間の経済主体が政策当局の公開する情報に過剰に反応してしまうような状況では、政策当局は個別地域の情報を細かく公開するよりも複数の経済地域の情報を集計したもののみを公開するほうが民間の過剰反応を防ぐことにより経済厚生を上昇させる可能性があることを理論的に示した。 ディスカッションペーパー Endogenous Information Acquisition and Partial Announcement Policy は、上記の過剰反応を防ぐ一つの方法として先行研究で提案されている「一部の民間主体にのみ情報を公開する」政策を、当局が有料で情報を公開することによって実現することが可能であるか理論的に考察した論文である。我々は、政府の情報は定額料金で公開するのではなく、希望者の人数に合わせて料金を設定することによってこの政策が可能になることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度行った一連の研究は、情報の不完備性と流動性の罠の間の関係について理論的な基礎を提供する可能性のある研究であり、次年度の研究の土台として重要である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、内生的経済成長モデルと流動性の罠との関係について論文を完成させるとともに、今年度行った情報公開についての研究を動学一般均衡モデルに導入することにより、情報の不完備性が流動性の罠の原因足りえるかについての考察を行う。これらの研究の成果を査読付き学術雑誌に投稿する。平成26年度は本研究課題の最終年度であるため、以上の方策によって、本研究課題に対して一つの解答を与えることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画より少ない出張回数で計画が遂行できたため、次年度使用額が生じた。 平成26年度は本研究課題の最終年度にあたるため、論文の執筆・投稿や研究発表などに重点を置くことになる。そのため、次年度使用額と平成26年度の経費は、英文校正費や国内・海外出張の旅費などへの支出が主になる。さらに、急速に進展する金融理論とマクロ経済学の融合が本研究課題に対しても重要になるため、最新の研究をまとめた書籍の購入にも使用する。
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