研究概要 |
研究課題「経済連携・統合によるスピルオーバー効果の実証分析―欧州と東アジアの比較―」の初年度として、平成24年度には大きく分けて以下の二点に関して研究を進めた。 一つは、ヨーロッパの経済統合に関するスピルオーバー効果を分析する基盤として、本研究の連携研究者であるドイツ・フライブルグ大学経済学部のOliver Landmann教授とヨーロッパ経済の現状分析を行った。具体的には、EUROZoneに属する国々で起こっている不均衡について、フィリップス曲線の概念を用い、域内でどのような連動性が見られるのか実証的に分析を行った。結果として、ドイツを筆頭にした先進国とギリシャやポルトガルなどの後進国との間では、フィリップス曲線の傾きに格差があることがわかった。これは、金融政策を統合したことによる経済の連動性の裏に、財政政策の差異や各国の産業構造や経済レベルの差がぞんざいしており、域内のアンバランスを生み出しているということがわかった。本研究内容は、平成24年9月17日に名古屋大学で開催されたThe 25th Freiburg-Nagoya Joint Seminarにおいて報告した。 二つ目は、アジアの経済連携に関するスピルオーバー効果を分析する基盤として、研究連携者である韓国・忠南大学経済学部のJeong Seeun准教授と、東アジアの国々における産業構造比較と生産性の収斂について研究・分析を行った。本研究は、以下のように査読論文として公刊に至った。 JEONG and DOI (2012),“Have structure and productivity in East Asian manufacturing converged?” The Journal of Northeast Asian Economic Studies, Vol. 24, No. 2, pp. 355-385.
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