研究課題/領域番号 |
24730247
|
研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
湯川 創太郎 滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30596945)
|
キーワード | 都市計画と交通政策 / 地域交通政策 / 国際情報交換 / マレーシア |
研究概要 |
平成25年度は、昨年度の研究成果、およびその際に検討した推進方策に基づき、(1)応用一般均衡モデルによる経済効果の推計に向けたデータセットの作成、実際の推計作業の準備(2)実際の交通・環境・地域に関する政策、政策策定にあたっての諸議論を元にしたシナリオ構築を行う事を計画に掲げた。その成果は下記の通りである。 (1)応用一般均衡モデルによる経済効果の推計に向けたデータセットの作成、実際の推計作業の準備: 当初計画に即して、都市域の経済活動の空間的な広がりを統計的に把握するデータセット(社会統計表)を作成し、それを元に応用一般均衡モデルによる試験的な推計を試みたが、当初期待した、都市の周密性と交通政策との関連性が明確に示される結果が示されなかった。データセットに取り入れる要素やその区分に改善の余地があると考えられるため、現在修正作業を行っている。 (2)実際の交通・環境・地域に関する政策、政策策定にあたっての諸議論を元にしたシナリオ構築: 前年度の成果を踏まえ、当初計画にあったアジアでの適用可能性を強めるために、昨年度コンタクトをとったマレーシア国民大学と連携を強化し、同大学の客員研究員として訪問・調査を行い現地の都市政策、交通政策について調査を進めた。マレーシアでの調査に関しては、昨年度の調査でマレーシアにおいて公共交通政策の統合化政策が進められている事が判明したので、本年度は現地の公共交通の実態や都市政策の概要について調査を行った。また、応用一般均衡モデルの具体的な適用可能性として、免税地域として経済活動が物理的に分離されている同国ランカウイ島の視察調査を行い、統計情報の入手可能性についてヒアリングを行った。研究成果については、国際会議で報告するとともに、和文誌、英文誌への投稿を行っており、現在その修正作業を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度検討した推進方策の中で、政策シナリオの作成のための調査として、マレーシアでの現地調査を現地大学と連携して進める事を提案した。これに関して、現地の環境・交通研究者と交流しての現地調査を積極的に進める事が出来た。また、同地ランカウイ島で、応用一般均衡モデルの具体的な適用可能性の検討を行う事も出来た、こうした事から、全体として「おおむね順調に進展している」と評価する。 他方で、分析のコアとなるデータセットを元にした推計作業にいくつかの課題が見られるなど、当初計画に比して遅延が見られる作業項目があることも否めない。この点に関しては、原因究明と必要に応じた分析の仮説設定の再検討を進めているが、その結論に基づいた再推計の実施を早期に行う必要があると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度の進捗状況を踏まえ、データセットの項目や当初想定した仮説(都市の周密性と交通政策の関連性)の再検討・修正を早期に実施し、早期に再推計を行う。また、政策シナリオとモデルの融合を行い、日本における都市構造と、都市の経済性、またそこに交通政策がどのように関わるのか、またそれは政策によりどのように変化していくのかを早期に明らかにしたいと考えている。 海外における応用については、過去2年間の調査の結果、統計の利用可能状況の他、都市計画や交通計画に関する基本思想が大きく異なり、日本国内を対象にした分析モデルをそのまま移出・適用する事は困難であることが判明している。これに関しては新たな研究課題として来年度以降の研究活動で明らかにしていく必要があると考えられるが、本年度の研究活動の中で、それに直結する基礎的なアイディアの構築を行う事が重要であると考えられる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究活動では、本研究費の他、民間財団の助成金を受給することができた。民間財団から助成を受けた研究テーマは本研究とは異なるものであるが、同一回の海外出張で両研究を遂行することなどが可能となった。結果として使用額が見込みより若干減少した。 次年度使用額分については、より詳細な海外調査実施のための経費に充当する予定である。
|