本研究課題では伝統的金融政策の効果と副作用に関する実証研究を行った。研究成果としては、第一に、米国のFRBが2008年に開始した非伝統的金融政策は中長期の金利を引き下げる効果があった一方で、原油価格の上昇要因になったことを示した。第二に、日銀が2001年以降に実施した量的緩和策のマクロ経済への効果に関しては、伝統的な金融政策と比べて効果の発現がより早く見られるものの、持続性はあまりなく、不確実性が比較的高いことが分かった。第三に、銀行貸出への効果に関しては、少なくとも金融危機が再燃した2000年代初めの時期に下支え効果があったことを明らかにした。
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