本研究では,公共インフラと資本の深化による外部性によって特徴づけられる成長モデルを用いて,2011年の東日本大震災をはじめとした大規模自然災害からの復興プロセスを理論的に検討する.特に,収束分析を活用して復興の進捗を多角的に分析することで,復興の加速に資する政策内容を明らかにしたい.主要な結果を列挙する(資本毀損率を10%に設定).(1)震災後,長期均衡への収束速度は低下する.(2)収束の鈍化は移行期間を長くするため,復興の長期化が懸念される.(3)数値解析より,現在の進捗は20%目前と予想できる.(4)復興を加速させるため,インフラの再構築にあたっては,「選択と集中」が非常に重要である.
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