研究課題/領域番号 |
24730253
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
平田 英明 法政大学, 経営学部, 教授 (60409349)
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キーワード | 株価 / ボラティリティ / 国際連動性 / 経済政策 |
研究概要 |
1.昨年度までに実施した分析について、論文を英文査読雑誌と英文査読書籍に投稿し、一部は受理された。また、再投稿中の論文もある。 2.新規の研究1を進めた。概要は以下の通り。(1)先行研究のサーベイ:クロスボーダーの金融取引が金融変数(特に経済の先行きに関する指標性を持つ株価などの資産価格)に与える影響に関する先行研究について、サーベイした。理論的には、取引量の増加が金融変数の世界的な連動性を生み出す場合もあれば、逆に連動性を低下させる可能性もある。しかし、データの不十分さなどもあり、実証的にはどちらの傾向が強いのかは一概に言えないことがわかった。(2)データセット構築:クロスボーダーの金融取引のデータ、また金融変数の国際的な連動性に影響を与えるとする各国の産業構造等のデータを取得し、大規模なデータセットを構築した。(3)実証分析の実施:データを用いた計量分析を行っている途中である。 3.新規の研究2を進めた。概要は以下の通り。 (1)先行研究のサーベイ:海外では日本に比べて高い水準の消費税が課されていることもあってか、消費税の引き上げ自体が経済分析において中心的トピックとは必ずしもなっていない。しかし、わが国に関しては3→5%の引き上げ時に景気が大きく落ち込んだこともあり、注目度が高い。そこで、丁寧に先行研究をレビューした。その結果、住宅にかかる消費税の経済に与える影響についてモデル化する必要性が高いことがわかった。(2)理論モデルの構築:現在、確率的動学一般均衡モデルを構築中である。特に、解放経済下で海外との資金取引が存在していることを考慮した分析は複雑となるため、その部分で様々な検討を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.昨年度の研究を活かして作成した論文が査読雑誌と査読書籍に掲載された。 2.新規の分析を進め、実証分析を進めつつある。
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今後の研究の推進方策 |
わが国では消費税の増税が行われ、今後も引き上げが予想される。その短期的影響だけではなく、中長期的な影響について考えていくことが、期待の異質性とフォワードルッキングなマクロ経済政策について考えていく上で重要と考えており、最後の一年でその点について研究を進めていきたい。 また、国内に限定せず、国際的な視点から市場の期待を反映する金融資産価格の動向について研究を行い、そこから得られる経済政策的意義を整理し、論文作成実証分析結果の解釈とそこから得られる経済政策上の留意点を整理していきたい。本研究が世界的にも認められる水準をクリアするように、欧米の大学、政策当局、国際機関での学会発表の場などでの意見交換を参考に論文を改善し、学術誌に投稿することを目標とする。 これらの分析を通じて、学術的な貢献だけなく、実務的な貢献も果たしていきたい。
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