本研究の目的は、金融自由化が所得不平等拡大と軌を一にしてきたことを踏まえ、アメリカにおける低所得層の金融排除の実態を明らかにすることである。賃金・給料の受取や請求書の支払といった日常生活において、銀行口座の必要性は増しているにもかかわらず、銀行から排除されている人々がいる。 アンバンクトは、中間層に上昇するために不可欠な経済的基盤を奪われていることを意味する。信用履歴構築、資産形成、低利の融資を受けることが困難だからである。中間層の崩壊と社会的紐帯の切断がアメリカの大きな課題となっている。アンバンクトの人々に銀行口座を提供する「経済的包摂」が重要課題であるのは、そのためにほかならない。
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