研究課題/領域番号 |
24730255
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
青野 幸平 立命館大学, 経営学部, 講師 (20513146)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 金融政策 / 時系列分析 / 株式市場 / 債券市場 |
研究概要 |
先物金利として「Tomorrow Next」と呼ばれるオーバーナイト・コールレートの翌々日物の金利データと用いて,金利の変動(金融政策の変化)についてSurprise変数(予期されていない金融政策に該当),Expect変数(予期された金融政策に該当)を1995年から2011年までの期間について,日次データで整理・作成した。また,企業レベルでの財務諸表のデータについて,金融政策変数と同様のサンプル期間について入手・整理し,産業レベルの株価データについても入手し,整理を行った。 昨今の金融施策を考える上では,「予想/期待」が非常に重要な役割を担っていると考えられる。具体的には,日本銀行が実施する金融政策が,事前に予想されていた水準と比較して大きな緩和(引締)かどうかが非常に重要であると考えられている。その点について,実証的に分析する上では,上記の様な金融政策変数を用いることは非常に重要である。 その上で,Surprise変数/Expect変数を用いた時系列分析について,「Tomorrow Nextを用いた金融政策の分析」(一橋大学経済研究所物価研究センター Working Paper Series No.7)としてまとめた。本論文では,1995年以降の日本の金融政策について,上述の金融政策変数を用いて,株式市場・債券市場・為替市場への影響について分析を行っている。これらの変数は,今後,特に新しい日本銀行総裁の下で実施されている,「超緩和」金融政策を考察する上では,より重要性が増すことが十分に考えられる。その意味で,現時点までのデータを用いて,各種資産市場への影響について考察している本論文での研究には,一定の意義と重要な貢献があると考えられる。 上記の論文は,2012年12月に大阪大学で開催された「マクロ経済研究会」で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度における研究計画のうち,「先物データを利用した金融政策変数の作成」,「金利に関する日次データの整理」,「企業レベルの財務諸表に関連するデータの整理」,「産業別の株式データの整理」等,データの入手/整理に関する作業は概ね終了している。さらに,マクロレベルの株式データ,債券市場のデータ(LIBOR)などへの影響についての分析についても終えてる。その意味で,概ね順調に進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まず,ある程度の分析が終わっている「Tomorrow Nextを用いた金融政策の分析」について,英文にした上で,海外の学術誌への投稿を行う。 次に,Caballero, Hoshi, and Kashyap(2006)で提唱された「ゾンビ企業」について,現時点で収集してる企業レベルの財務データを用いて計算し,産業ごとにゾンビ企業の比率について計算を行う,など企業レベルの財務データ/産業レベルの株価データ等を用いた分析を行うことで,産業ごとの特性等について着目出来る分析を行う。その上で,本研究で作成している「金融政策変数」を用いることで,どのような企業/産業が,金融政策に影響を受けやすいのか,またそれらの企業/産業に共通する財務的な特徴は何か,といった分析を時系列分析/パネル分析を用いて行っていく。 本研究の最終年では,海外を含む複数の学会で,研究の成果を報告すべく,上述の研究に関する結果についてまとめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
例年であれば夏(8月)に開催されていたEconometric Society Asia Meetingが開催地の都合で冬(12月)の開催に変更になり,参加が出来なくなってしまったこと,英文での論文をまとめる作業が若干遅れ,年度内に英文校閲まで回すことが出来なかったことにより,次年度使用額が生じた。 次年度の使用計画は,データの分析をより効率的に行うために,持ち運びが出来,かつある程度スペックの高いパソコン(ノートパソコン)の購入に18万円,統計処理ソフトを含むパソコンソフトの購入に20万円,大量のデータを保管するためのハードディスク・記憶メディア等の購入に係わる費用に5万円の支出を予定している。また,現在までにまとめている論文について,海外の学術雑誌への投稿に係わる費用(英文校正費・投稿料)としても7万円の支出を予定している。海外の学会(Econometric Society Asia Meetingを予定)・国内の関連する学会(日本経済学会・日本金融学会・日本ファイナンス学会),関連するセミナーに参加する費用などに40万円を利用する予定である。最後に,研究に関連する書籍の購入に5万円程度利用する予定である。
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