Tomorrow Nextと呼ばれるオーバーナイト・コールレートの翌々日ものを利用した「金融政策変数」を用いた研究を行ってきた。分析の対象期間としたのは,Tomorrow Nextを日次で入手することが可能な1995年1月~2013年12月までである。この期間には,ゼロ金利政策,量的緩和政策,異次元緩和政策など,これまでとは異なるタイプの金融政策が多く実施された期間でもある。 まず,Tomorrow Nextを利用して作成した「金融政策変数」を用いることが,上記の様な新しい金融政策のレジームにおいても一定程度の有効性はあることを確認した。その上で,金融政策が株価(株式収益率)や為替レート,市場金利に与えている影響について分析した。その際,「期待」に働きかける政策が一定の成果を上げている可能性が示唆される結果を得た。 より具体的には,量的緩和政策を実施している時期において,予測されていた金融政策に関連した変数が,市場金利に対して有意な影響を与えていたことを確認した。ただし,為替レートや株式収益率への影響は限定的であったことも同時に確認した。これらの成果は,論文としてまとめ,学術誌に投稿している。 特に,最終年度は,産業別の株価指数に着目し,産業の違いによって金融政策の効果が異なる可能性があることを確認した。この研究は,「産業別の金融政策効果について」としてまとめた。2014年8月には,法政大学と京都産業大学で「第4回マクロ政策分析研究会」を共催し,金融政策にとどまらず広くマクロ経済政策に関連した論文を多くの研究者に報告してもらうと同時に,研究代表者も上記の論文を報告した。
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