本研究の目的は、学校教育の収益率を賃金分布の各分位(各賃金層)で推定し、その収益率が分位によりどの程度異なるのか、またコホートによってどの程度異なるのかを確認することである。欧米の既存研究と同様にクロスセクション・データを用いると、高分位の収益率が低分位の収益率よりも高く、その差は欧米諸国と同程度であった。しかしながら、サンプルを若年層に限定するとそのような傾向は確認されず、中高年層においてそのような傾向が顕著であった。また、若年層のサンプルでコホート別の分析を行ったところ、コホート間で大きな違いは観察されなかった。
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