研究課題/領域番号 |
24730259
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 秀和 関西学院大学, 商学部, 教授 (30368451)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 経済政策 / 都市経済学 / 地域経済学 / 交通経済学 / 国際情報交換 / 日本:欧州:北米 |
研究概要 |
港湾貨物流動と地域経済構造の空間的相互依存関係を明らかにすることが本研究の目的であり、日本・欧州・北米地域を対象に、同一変数・分析枠組みを用いることで、移輸出入別・似姿別・品目別貨物の空間的分布・特性と地域経済構造の関係性やその地理的な影響範囲を議論する。 具体的には、港湾属性変数と地域経済変数から各地域で類似する特性要因を抽出・グループ化し、日欧米での比較分析を行う。得られた各地域の要因係数を説明変数とした空間自己相関モデルを採用することで、周辺地域の影響も空間的分布パターンとして取り入れたモデル分析が可能となり、港湾機能・特性と地域経済活動の関係性の程度やその範囲を異なる地域レベルで検証する。 当該年度は、日本・欧州・北米それぞれの地域を対象とした定量分析を行い、新経済地理学(New Economic Geography)や交通地理学(Transport Geography)から得られた理論枠組みに基づき、地域経済構造とロジスティクス機能(主に輸送コスト)の役割から各地域の類型化を行った。その結果、地域経済構造や港湾物流構造は各国・各地域で異なるものの、一定程度の類似性が確認され、グローバル化が進展したもとでも港湾機能の役割や港湾政策の特徴が分類可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
静学的な定量分析ではあるが、日本・欧州・北米における実証分析からロジスティクス機能と地域経済構造との類型化を行い、一定程度の類似性を確認したことで、グローバル化が進展する中でも港湾機能の特化性を検証した。 さらに、時系列分析への拡張と共に、先進国に加え、中国やインド、さらに東南アジア諸国、南米やアフリカなど、地球規模のデータベースを構築し、同様の分析枠組みで定量分析を行った。その結果、グローバルデータを採用することで各国・各地域の特徴はある程度薄れるものの、経済の規模や発展段階に寄らず、地域経済構造に対する港湾機能の役割を確認可能となった。 一方で、時系列分析への拡張では、(日本は豊富なデータ資源が存在するものの)他国ではデータ整備状況や公表状況、データ項目が異なるなど、データベースの構築については幾つかの課題が存在した。そこで、入手可能な日本について詳細な時系列分析を進め、その分析示唆を基に、対象とする欧州や北米での関連項目調査を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
上述した研究成果を国際学術雑誌(2本)へ投稿した。1本は条件付き採択で、現在査読者のコメントに従い加筆修正を行っている。もう一本は、査読者のコメントを基に加筆修正を行い、既に再投稿を行った。これらの研究成果が早い段階で採択されるよう努める。 また引き続き、データベースの構築を進めると共に、日本を中心とした予備的分析を行うことで、追加で必要とされるデータの確認・収集を行う。特に、日欧米の比較分析として、採用する取扱品目分類や各種説明変数だけでなく、輸送に係わる環境指数や立地選択に係わる労働賃金水準、さらに都市集積や港湾背後圏域の差異をも議論するため、対象とする都市や地域の範囲のモデル検討は不可欠である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は、海外研究機関に所属する研究者らとの共同研究であるため、研究進捗の国際学会報告などに併せて、精力的に意見交換の機会を確保したい。そこで、平成25年度については、当該研究について2回の国際学会報告を予定しており、国際学会の前後を利用し効率的に意見交換・研究進捗の機会を得たい。 また、データベースの構築については、膨大な作業量となるため、データ入力のための研究補助だけでなく、外部のデータベース構築サービスなども必要に応じて検討し、効率的・効果的に研究費を使用するよう配慮する。
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