本研究の目的は,日本の低金利期間における金融機関のリスクテイク行動の詳細を実証的に明らかにすることである.金融機関のリスクテイク行動として特に貸出行動に注目すると,1990年代終盤から2000年代初頭の期間では,自己資本比率が低い銀行のリスクテイク行動は抑制されていたが,不良債権比率が高い銀行のリスクテイク行動はむしろ促進されていた.2000年代中盤の期間でも同様に不良債権比率が高い銀行のリスクテイク行動は促進されていた.地域別には都市部よりも地方部に属する銀行の貸出行動の方がよりリスクテイクを伴っていた.
|