研究課題/領域番号 |
24730271
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
奥山 尚子 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80617556)
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キーワード | 利他的行動 / 向社会的行動 / 寄付 / ボランティア / ソーシャル・キャピタル / 社会的選好 |
研究概要 |
本研究は、慈善行動(寄付・ボランティア)について、行動経済学的見地から分析し、利他的行動の意思決定メカニズムを実証的に明らかにしようとするものである。 今年度は、当初の研究計画に従い、前年度の研究成果も踏まえ、主に慈善行動に関する国際(多国間)比較研究、家族内の利他的行動と他者への利他的行動の動機の比較を中心に調査・分析を行った。前年度の研究成果において残された課題もあるため、次年度以降の研究計画について、一部修正を行い、引き続き研究目的の遂行に努める。 今年度は第一に前年度からの調査・サーベイを継続するとともに、海外研究グループ(School of Philanthropy of Indiana University, Center for Philanthropic Studies of VU University Amsterdam, Science of Philanthropy Initiative of University of Chicago)の調査およびデータのアーカイブも活用して、網羅的かつ効率的に研究動向の把握に努めた。第二に、予備調査を通じて得られた知見や論点を整理し、分析における理論・実証モデルの検討を進めた。第三に、大阪大学経済学研究科グローバルCOEによる「くらしと好みと満足度についてのアンケート調査」および日本ファンドレイジング協会による「寄付とボランティアに関する意識調査」などから得られる家計の慈善行動に関するパネル調査の個票データを用いて、実証分析を行った。また並行して、次年度以降の研究計画遂行に必要な調査の設計に関する予備的作業や、設計に役立てるための関連調査の設計および実施に関する研究会にも参加し、調査実施のフィージビリティやデータの利用可能性に関する事前調査も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年ならびに今年度の研究計画における実施項目について、概ね達成できた。加えて、分析の理論的枠組みや分析手法等について、改善および精緻化のための具体的な課題も確認でき、次年度以降の研究のためのより具体的な計画や目標、作業項目を設定することができた。 次年度に実施予定の調査の設計ならびに実施において、これまでの研究成果から確認された知見や課題の整理が重要であり、このことについては、引き続き入念な作業対応や具体的な対処の検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い、研究を遂行していく。 次年度では、制度利用に関する意識調査の設計および実施を予定しており、これまでの研究成果より得られた知見や課題も踏まえて、調査手法や分析対象に関する新たな先行研究の把握やインプットが必要となる。研究ネットワークを活用して、効率よく効果的に成果が挙げられるように、計画的に進めていきたいと考えている。 前年度における分析上の課題についても、次年度研究を円滑に遂行できるよう、速やかに取り組みたい。
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