本研究の目的は、どのようなガバナンスシステムが企業の長期的な価値の向上に寄与し、そのためにはどのような政策・規制が有効であるかを実証的に検証していくことである。本研究の最初の成果として、銀行と企業の関係が強いガバナンスシステムの下では、株式市場における価格の情報効率性を害する可能性があることを指摘した。また、2番目の研究においては、機関投資家による所有が多いような場合では、インデックス運用や貸株の影響で株価が不安定になる可能性が指摘された。本研究の結果は、企業が価格の情報効率性・安定性を維持するために債務・株式の所有構造を注視しなければ、長期的な企業価値向上に結び付かないことを示唆している。
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