研究課題/領域番号 |
24730283
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
田 園 龍谷大学, 経済学部, 講師 (10609895)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 海外投資 / 資本構成 / 負債移転 / リアルオプション |
研究概要 |
本年度の研究では,法人税の国際格差と為替レートの変動を考慮に入れて,多国籍企業の海外投資と資本構成の意思決定について,理論モデルを構築して分析を行った. 法人税率の国際格差から生じる負債移転によって,投資及び倒産が早まり,レバレッジ(負債比率)が高くなり,海外子会社の企業価値が向上することがわかった.負債移転のコストがそれほど大きくないときは,法人税率の国際格差が大きいほど海外子会社のレバレッジが大きい.さらに,為替レートと海外市場のキャッシュ・フローが正の相関を持つとき,相関が大きいほど,為替レートの不確実性が大きいほど,海外投資が早まる.これらの結果は,実証研究の結果に合致している.法人税の国際格差と為替レートの変動が多国籍企業の海外投資と資本構成に及ぼす影響は無視できないことを明らかにした.上記の研究成果を論文"Investment and capital structure decisions of foreign subsidiary with international debt shifting and exchange rate uncertainty"としてまとめ,査読付き国際学術雑誌Decisions in Economics and Financeに投稿し,採択された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の一つ,「法人税の国際格差と為替レートの変動を考慮に入れて,多国籍企業の海外投資と資本構成の意思決定」について,研究成果が得られたので,概ねに順調に進展していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,研究目的のもう一つ,「企業と政府間の戦略的相互依存関係を考慮に入れながら,海外投資誘致政策の有効性」について,定性的かつ定量的な分析を行う予定である.具体的に,投資コストに対する補助金と法人税率の削減という2つの海外投資誘致政策の費用対効果を勘案して,より有効な政策を明らかにする予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
・数値計算ソフトウェアMathematicaの購入 ・ファイナンス関連の和書,洋書の購入 ・研究の打合せ ・国内学会,国際学会への参加,報告及び情報収集 ・学会参加費,投稿料
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