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2012 年度 実施状況報告書

金融危機におけるインターバンク市場の実証分析

研究課題

研究課題/領域番号 24730284
研究機関大阪経済大学

研究代表者

秋吉 史夫  大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (30454490)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード金融危機 / インターバンク市場
研究概要

本研究は、我が国の金融危機時(1997-98年)の銀行データを用いて、金融危機がインターバンク取引に与える影響を分析することを目的としている。分析の結果、借り手銀行の信用リスクとインターバンク取引条件の関係が金融危機前と金融危機時とで変化したことが明らかになった。金融危機前は、銀行の信用リスクと借入量の間に有意な関係は見られなかった。一方、金融危機時には、信用リスクの悪化した銀行ほど、借入量が少なくなる関係が見られた。そして金融危機時に、信用リスクの高い銀行ほど日本銀行からの借入を増やしていたことが分かった。これらの結果の多くは、銀行の観察されない固定効果を考慮した推定を行った場合でも変わらなかった。
本研究の結果は、金融危機時のインターバンク市場において、貸し手が信用リスクに過敏に反応し、信用リスクの高い一部の銀行が市場から資金を調達できなくなったことを示唆するものである。このことは、公的資金による資本増強といった政府当局による銀行の信用リスク改善策が、インターバンク市場の混乱を解決する有効な手段であることを意味しており、将来の金融危機への対応として重要な政策的インプリケーションを持つものであると考えられる。また、2008年のリーマンショック直後の米国のインターバンク市場を分析した研究でも、本研究と同様の結果が報告されており、金融危機時におけるインターバンク市場の態様が、ある程度日米で共通していることも明らかにすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、金融危機がインターバンク取引に与える影響を実証的に分析することである。そして現在までに、金融危機時にインターバンク市場の貸し手が信用リスクに過敏になったために、一部の借り手の資金調達が困難になっていたことを示唆する結果を得ることができた。分析にやや時間がかかったものの、研究成果を論文の形にまとめる目途がつきつつある。次年度は、研究成果の公表に重点を置いた研究活動を行う予定である。

今後の研究の推進方策

研究成果を公表することに重点をおきつつ、研究内容の一層の充実を図る。国際査読誌の掲載審査の結果によっては、改定作業の発生あるいは他の国際査読誌への再投稿も予想される。研究発表で得られるフィードバックに基づいて、分析手法および論文記述の改善を行い、研究成果の質を高めることを目指す。特に、本研究の分析対象である1997-98年の日本のインターバンク市場の危機を、2008年の米国のインターバンク市場の危機と比較し、危機の共通点あるいは相違点の分析を深めることを目指したい。

次年度の研究費の使用計画

今年度はデータ入力のための人件費・謝金として3万円を計上していたが、申請者自身がすべてのデータ入力作業を行うことができたため、人件費・謝金は発生しなかった。このため、次年度使用額が2万円弱発生することになった。翌年度は研究成果の公表に重点を置き、学会での発表も予定している。次年度使用額は翌年度研究費と合わせて、主として旅費などの研究成果公表のための費用として使用することを予定している。

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公開日: 2014-07-24  

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