本研究では、明治期日本の石炭流通構造を分析することで、家族経営の帆船海運業者、港湾労働者を供給・管理する荷役請負業者の存立基盤を究明することを目的とした。まず、炭鉱経営資料、石炭問屋の資料、帆船業者の資料を収集し、適宜、必要な情報をデータベース化した。それらの資料を詳細に検討し、明治期の炭鉱経営を圧迫する輸送問題について新たな論点を提示した。また、明治期に拡大する国内石炭市場に合わせて、炭鉱企業が帆船業者、荷役請負業者、実際の積込作業に従事する人夫たちをいかに組織化していたのかを把握する手掛かりを得た。
|