研究課題/領域番号 |
24730293
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
木谷 名都子 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (00509367)
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キーワード | 経済史 / イギリス / インド / 帝国 |
研究概要 |
本研究の目的は、独立直前のインド政庁のイギリス本国政府に対する相対的独自性について探究することである。具体的には、1939年に開催された第3次日印会商と1944年に開催された連合国通貨金融会議を事例として、当該期のインド政庁の能力―国内諸利害の調整能力および対外的経済関係への対応能力―に焦点を当てて考察する。 平成25年度は、前年度に引き続いて関連する二次文献の収集・リスト化・読解を進めるとともに、前年度にイギリスのグラスゴーおよびロンドンにおいて実施した史料調査で収集した一次史料の読解にも着手した。また平成25年8月には、ロンドンにおいて再度史料調査を実施し、一次史料の収集を行った。 ロンドンでは、国立文書館において1930年代末から1940年代にかけての商務省、外務省、大蔵省の史料を調査し、大英図書館においては同時期のインド省の史料を調査した。本研究においては、1940年代におけるアメリカとの関係も視野に入れてインドの経済成長過程の歴史的背景について考察することを課題のひとつとしているため、この史料調査においては、英米通商協定に関する文書等を重点的に閲覧した。 また、平成25年10月27日に開催された広島史学研究会大会西洋史部会において「第二次世界大戦前後におけるイギリスの対外経済関係の模索」というタイトルで研究報告を行った。この報告では、第二次大戦期において、イギリス・インドともに経済面で帝国およびアメリカへの依存度が強まるなかで、イギリス側が戦後のインド経済政策についてどのような構想を抱いていたかを、インド政庁イギリス人官僚が作成した報告書を主な手がかりとして明らかにすることを試みた。 上記の文献・史料調査および学会報告を通じて、アメリカの位置づけもふまえたうえでの戦後の対インド政策構想をめぐるイギリス側の見解について有益な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度における2度の史料調査および今年度の史料調査を通じて、インド政庁およびイギリス外務省・商務省・インド省の史料群から、本研究に関連する一次史料を相当程度収集することができたが、収集した一次史料の読解作業が遅れており、現在も継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の点に着目して研究を進める。まずは、インドが独立する直前の時期における本国イギリスの対アメリカ経済政策および対インド経済政策についてどのような方針の下で実行していたか、あるいはしようとしていたか、という点を明らかにすることを目的として研究を進める。この点は、インド政庁の諸利害調整能力を考察するうえで大きく関連する論点と考えられる。そのうえで、連合国通貨会議を事例として、インド政庁の諸利害調整能力および対外経済関係への対応能力についての考察を行う。 平成26年度は、平成24年度および平成25年度に収集した一次史料の読解作業を継続して行い、得られた成果をもとにして研究の総括を行う。また学会・研究会(社会経済史学会、日本西洋史学会、日本南アジア学会、イギリス帝国史研究会など)へも引き続き積極的に参加する。
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