本研究では、①アメリカ系教会学校のビジネススクールという具体的な研究対象を設定し、これを中国・アメリカ・香港・日本の視点から位置づけること、②ビジネススクールの分析を、研究代表者が研究を進めてきた銀行業界の動向と結びつけ、欧米に端を発する高等商業教育が中国の商慣行を内側から変革していく過程を明らかにすること、という二つの課題を設定している。最終年度である本年度は、主として上記テーマ②に関する分析を中心として、これまで実施してきた研究の成果をまとめる作業を進めた。まず、アメリカで収集した、経済学者に関する個人資料および宣教ミッション関連の資料について、翻訳と整理を行った。また、国内では、東洋文庫および一橋大学附属図書館において、資料の閲覧をおこなった。さらに,これらに加えて、経済史および教育史にかかわる文献の購入をすすめた。そして、これらの資料の内容について、研究代表者がこれまで行ってきた銀行業研究の状況と関連づける作業をすすめた。 以上の検討により、中国において誕生・展開したビジネススクールを、世界的状況のなかに位置づけるとともに、欧米に端を発する高等商業教育が内側から中国の商慣行を変革していく過程を、具体的に検討することが可能となった。ここで得られた研究成果を広く公表するため、現在複数の学術論文を作成中である。また、本年度の研究成果については、個人ホームページで紹介するとともに,2016年8月に中国社会科学院で開かれる国際シンポジウムにおいて報告を行い、現地の研究者との研究交流をすすめる予定である。
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