第一次世界大戦後の中国は、経済発展の黄金期を迎えた。上海租界を中心とする都市部では、綿紡織業などの近代産業が相継いで設立され、産業金融が発展し、証券取引所が設けられ、近代株式銀行が大きな成長をとげた。これら新たに誕生した業界には、アメリカ系教会学校附設のビジネススクールでビジネス教育を受けた人材が送り込まれた。これら新たな経済人は、徒弟制度にもとづく伝統的企業のありかたを刷新していく。本研究は、近代中国におけるビジネススクールと高等商業教育の展開について、銀行業の発展と関連づけながら検討し、当時出現した新たな経済人が、社会の内側から伝統的商慣行を変容させていく過程を解明する。
|