研究課題/領域番号 |
24730303
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
山口 育人 帝京大学, 総合教育センター, 講師 (20378491)
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キーワード | 国際通貨制度 / 開発援助 / コモンウェルス |
研究概要 |
本年度は、第二次世界大戦後のスターリングエリアについて、1950年代後半から1960年代半ばまでを対象時期として研究を進めた。①研究文献の入手と検討、②オーストラリアならびにニュージーランド国立公文書館での資料調査・収集を行った。 ドル不足解消や1958年の通貨交換性回復によってスターリングエリアの通貨グループとしての存在意義は低下することになった。また1960年代に入るころからイギリス政府内では、スターリングの準備通貨としての役割がイギリス経済にとって重荷であるとの認識が広がりはじめた。しかし国際通貨スターリングの「退場」には、1970年代初めまでの10年ほどを要することになった。というのは、発展途上国への援助・資金供給問題が重要性を増し、また「トリフィンジレンマ」などが象徴するような国際通貨体制の揺らぐ状況のなかで、スターリングの国際通貨としての役割とその将来は、イギリス・コモンウェルスの問題だけではなく、広く西側の政治・経済問題として扱われるものとなったからである。 こうした性格を持つようになった1950年代末から60年代半ばにかけてのスターリングシステムのあり方を、イギリス、スターリングエリア諸国、アメリカ、西欧諸国の政策の概観と分析を通して明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・本年度、対象とした時期の分析に必要な文献、資料はほぼ入手できた。ただし、インド関連の資料は入手できず、ニュージーランド国立公文書館での調査で代替している状況にある。 ・本年度は、本研究が対象とする最終時期となる1960年代後半から70年代半ばにかけてのスターリングエリアの展開に関する文献、資料収集およびその予備的分析を前倒しして行った。そのため本年度の対象時期のスターリングエリアの展開について、一部、検討すべき項目が残った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、①1960年代半ばから70年代にかけてのスターリング「退場」プロセス、②1970年代初めに起こった開発援助問題のパラダイムシフト、国際通貨・金融体制の激変を受けたイギリス、旧スターリングエリア諸国の動向を検討する。そのうえで、研究全体のまとめに着手する。 今年度に一部前倒しして開始した文献・資料収集については、次年度の早い時期に完了させる。またアメリカ国立公文書館(可能であればイギリス国立公文書館)での資料調査・収集を行う。
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