研究課題/領域番号 |
24730306
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高浦 康有 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (00340216)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 障害マネジメント |
研究概要 |
本研究「障害マネジメントの災害時モデル構築に関する研究」では、障害マネジメント(disability management)の概念にもとづき、災害時の、障害のある社員へのケア、職場復帰支援等の雇用管理の方法について考察し、モデル構築と提言を行うことを目的としている。とりわけ東日本大震災で被災した東北の障害者雇用企業がどのように、障害のある社員に支援をなし得たかについて、その課題と可能性について検討することとしている。本年度6月から7月にかけて、有限会社井上技建(石巻市)、株式会社アップルファーム(仙台市)など震災後も障害者雇用に取り組む中小企業の調査を行った。これら企業は被災しながらも障害者の雇用維持に努め、地域との関係づくりを強化している状況が明らかになった。さらに10月にはフロニンゲン大学 Medical Center(オランダ)において開催された Work Disability Prevention and Integration(WDPI 2012)国際会議に参加したことで、障害マネジメントの国際的動向や政策上・実務上の課題について詳細に情報収集ができ、日本国内と海外の事例との異同について把握することが可能となった。またニートやひきこもり、障がいを抱えた若者や大震災の被災者によるコメ作りの就労を支援するNPOフェアトレード東北の事例について文献調査し、その成果を他の事例とともに「ニート、ひきこもりの就労を支援する会社」(水尾順一、田中宏司編『人にやさしい会社―安心・安全、絆の経営』白桃書房, 2013.4)においてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
災害時のモデル構築を最終目的としているところ、これまで調査等で得られた知見を体系化するにまだ至っていないが、東日本大震災によって障害者雇用企業がどのように影響を受け、またそのノウハウを被災者雇用にも活かしながらどのように地域貢献を図っているかの具体像をイメージし得るに至っている。国際的な障害マネジメントの動向との比較はまだ不十分であるが、福祉と経営の両立という要請は海外のみならず日本においても障害者雇用分野において強くなっていることを実感しており、その視点を分析に反映し得ると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は海外文献を中心に理論面での研究を推し進め、障害マネジメントのモデル構築が可能となる理論的素地の展開に努めたいと思う。またいくつかの調査事例についてより深掘りし、イノベーション創発の視点からアプローチするとともに、ケース・スタディの執筆を検討したいと思う。国内および海外の関連会議に参加することで、障害マネジメントを取り巻く現状についてさらに理解を深めることを目指す。また所属する地域イノベーション研究センターにおける震災復興研究調査プロジェクトにおいて遂行する被災地NPO/CB等の調査研究と知見の共有を図り、被災者の自立支援についても視野に含めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
現地企業調査および国際会議等の出張旅費のほか、RA等による調査補助費の計上を予定している。
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