研究課題/領域番号 |
24730306
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高浦 康有 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (00340216)
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キーワード | 障害マネジメント |
研究概要 |
本研究「障害マネジメントの災害時モデル構築に関する研究」では、障害マネジメント(disability management)の概念にもとづき、災害時の、障害のある社員へのケア、職場復帰支援等の雇用管理の方法について考察し、モデル構築と提言を行うことを目的としている。とりわけ東日本大震災で被災した東北の障害者雇用企業がどのように、障害のある社員に支援をなし得たかについて、その課題と可能性について検討することとしている。平成24年度に実施した被災地企業調査のうち、障害者雇用を核とした地域復興に取り組む株式会社アップルファーム(仙台市)のケースについて本年度、RAの協力を得て追加調査を行った。本事例研究の成果は、本研究科地域イノベーション研究センターの地域発イノベーション事例調査研究プロジェクト編『地域発イノベーション〈第3巻〉震災からの復興・東北の底力』河北新報出版センター(2014年2月)の「株式会社アップルファーム(六丁目農園)障がい者の戦略的雇用から始まる地域復興」としてまとめられた。さらに国際会議Australia's Disability Employment Conference 2013(アデレード、8月)への参加を通じて、障害マネジメントの環太平洋圏の動向や政策上・実務上の課題について詳細に情報収集ができ、日本国内と海外の事例との異同について把握することが可能となりモデル構築に大いに資する結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
災害時のモデル構築を最終目的としているところ、理論的な探求は不十分であるが、経済学者アマルティア・センのケイパビリティ論を参照しつつ、東日本大震災の被災企業の障害者雇用の実態について事例研究としてまとめる成果を生み出すことができた。国際的な障害マネジメントや障害者雇用の動向にも配慮しながら、これまで調査等で得られた知見をより体系化することに取り組んでいきたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
Australia's Disability Employment Conference 2014 等国内外の研究会議に参加し、研究領域の最新動向の把握に努めるほか、引き続き本研究科地域イノベーション研究センターの復興調査研究プロジェクトや地域発イノベーション事例調査プロジェクトに参加することを通じて、障害マネジメントと被災者自立の関連についてテーマを深掘りしていきたい。また科研費基盤研究B「震災復興下における当事者主導型ソーシャルイノベーションの研究」(研究代表者:大滝精一)の研究分担者として合同研究・調査で得られた知見を本研究にフィードバックしていきたい。
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