本研究「障害マネジメントの災害時モデル構築に関する研究」では、障害マネジメント(disability management)の概念にもとづき、災害時の、障害のある社員へのケア、職場復帰支援等の雇用管理の方法について考察し、モデル構築と提言を行うことを目的としている。本年度は、日本経営倫理学会日タイシンポジウム(タイ・バンコク、タマサート大学ビジネススクール、4月30日)にて、東日本大震災後の企業行動について、障害者雇用を通じたハーブ栽培と加工を行う社会的企業(多賀城ファーム)の事例をとりあげつつ、研究発表を行った。当該シンポジウムに参加したことで、震災後の企業行動について広くアジア・タイの研究者と知見を共有し、アジアの他地域に対しても適用可能な、災害時の企業行動モデルを検討することができた。さらに23rd NORDIC ACADEMY OF MANAGEMENT CONFERENCE(デンマーク・コペンハーゲン、コペンハーゲン・ビジネススクール、8月12日から14日)に参加し情報収集を行った。Business in Society をテーマとする当該国際会議に参加したことで、北欧諸国における企業の多様性や持続可能性に関する社会的責任の取り組み、社会的起業等の最新動向について広範に情報収集することができた。これにより、障害者配慮を基礎づける日欧の経営プラクティスの異同について把握することが可能となり、本研究のモデル構築に大いに資する結果となった。
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