本研究の目的は、部品メーカーが製品アーキテクチャの変化をともなうイノベーションに適応するうえでの研究開発組織のありかたを探索することである。TDKの磁気ヘッド事業を対象とした事例分析と、その理論的位置づけの検討が主たる研究内容である。 分析の結果、部品メーカーが自社部品を超えて知識獲得を行うことの重要性が確認され、そのような知識獲得のためには、分野横断的に知識を保有する少数の技術者が異なる部品間の知識を統合する役割を担っていることが見出された。また、この分野横断的技術者は、これまで研究が積み重ねられてきた「スター」や「ゲートキーパー」とはやや異なる開発動向であることも判明した。
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