この研究では,従業員が人事評価や報酬を受容する,という態度がいかなる態度であり,いかにして成立するのかについて,検討を行った。従業員にとって重要なのは評価や報酬が正しくなされていることであるが,「正しい」ということが具体的に意味することは,必ずしも明確ではない。 従業員は人事評価や報酬以外の職業生活がある程度充実しており,実際に受け取る報酬によって生活上の必要性が満たされている場合には,正しさについての検討をやめ,「正しくないわけではない」ということを根拠に評価や報酬を受容する。この研究では,こうした知見を理論的検討から導き出し,国内外でのインタビュー調査や質問紙調査で知見の具体化を試みた。
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