研究課題/領域番号 |
24730317
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中村 友哉 広島大学, 社会(科)学研究科, 特任講師 (20618128)
|
キーワード | イノベーション / リードユーザー / プロセス構造 / 製品開発 |
研究概要 |
本研究は、イノベーションの発生源として、ある種の製品や産業では、リードユーザーと呼ばれる一群のユーザーがその源泉であることに着目し、彼らがいかに製品を開発するのかを解き明かすものである。 これまでの研究から、イノベーションにはその特性と共にいくつかのパターンの違いがみられることが明らかになってきたが、本研究が分析の対象とするユーザーイノベーションはこうしたパターンの1つとして明らかにされたものである。ユーザーイノベーションの主体はユーザーであり、メーカーではなくユーザーが当該イノベーションの主体となて製品を生み出す。1970年代後半以降、ユーザーイノベーション研究はなぜユーザーがイノベーションを生み出すのか、どのようなユーザーがイノベーションを生み出すのか、どのような産業や製品に多くユーザーイノベーションがみられるのかといった点において多くの知見をもたらしたが、プロセスの動態的な側面についてはいまだ解明されていない点が多かった。プロセスの動態面とはつまり、ユーザーによる製品開発中に何が行われているのか、あるいはユーザーによる開発活動はどのように進行するのか、またそこではどのような要因が重要となるのかといった問いである。 本研究では、こうした問いに取り組むことで、多様なユーザーイノベーションのプロセスを明らかにするとともに、プロセスのモデル化を行ってきた。さらに、企業とユーザーとの間で行われる新たな共創戦略へもインプリケーションをもたらすことを目指している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はユーザーイノベーションプロセスのモデルを精緻化するとともに、これまでの成果を取り入れ、企業で行われている新たな製品開発の実態調査を進めた。今年度の文献研究での成果を取り入れ、現在分析枠組みのひな形を作成中である。また、本年度は次年度のインタビュー先企業の発掘に力点を置いたため、年度予算の執行に遅れが出たが、次年度の計画から執行は計画内である。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまでの文献研究、インタビュー調査等の成果をもとに、企業の新たな製品開発活動に対して、ユーザーイノベーションのプロセスという視点を土台に独自の分析枠組みの構築を行う。継続的にインタビュー調査の必要があるため、旅費にかかる費用を当初計画よりも多めに執行する予定としている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた備品の購入及び出張計画において当初計画と齟齬が出たためである。 具体的には、備品のプリンター等について、現在まで大学設備が使用可能となったために、購入を行っていなかった。また、旅費については、当初から行っていたインタビュー先の担当者が長期療養に入られたため、別のルート開拓の必要が生じたためである。 今年度の初頭において、今後必要となる備品の購入等については執行を行う。また、昨年度開拓した新規のインタビュー先調査において、海外渡航の必要性が生じたため、数回の海外渡航において旅費を執行の予定である。
|