研究課題/領域番号 |
24730320
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
折戸 洋子 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (70409423)
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キーワード | デジタルアイデンティティ / プライバシー / ビッグデータ |
研究概要 |
第一に、自己および他者によるネット上での情報発信行動がデジタルアイデンティティを形成させる一方で、その歪みをももたらしうる状況が存在し、それが個人の精神的影響や自律的意思決定にも影響あたえうるという、デジタルアイデンティティの形成にまつわる社会的リスクについて検討した。 また、デジタルアイデンティティを形成させる媒体としてのソーシャルメディアサイトを利用する若者の認識について、アンケートおよびインタビュー調査を実施し、デジタルアイデンティティのリソースとなる個人情報がソーシャルメディア企業による個人情報の利用とそのビジネスモデルに対する利用者の認識を調査し、デジタルアイデンティティ形成の基盤となるメディアの責任について考察した。 さらに、ソーシャルメディアを用いた選挙活動が解禁された現状やソーシャルメディアによって収集される個人情報がビッグデータとして取り扱われる状況があり、このような状況についてデジタルアイデンティティ概念との関係を用いて考察し、そのリスクを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
デジタルアイデンティティ形成によってもらたらされる個人に対するリスクや、デジタルアイデンティティの構築に資するソーシャルメディアの利用状況に対するアンケート調査や、デジタルアイデンティティ構築にまつわる諸現象に対して検討を行った。また、それらを国内および国際的な学術交流の場で公表することができた。 他方、これまでの研究成果をふまえながら、デジタルアイデンティティ形成と密接に関連するオンラインプライバシー保護や現代的なプライバシー概念の在り方に関する研究を発展させた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度も指摘したように、本研究課題に着手してから、すでにデジタルアイデンティティ形成に大きく関係する情報通信技術やそれらをベースにする情報サービスはより高度に進展し、またそれを用いたビジネスモデルもまた変化している。 そのような動向の変化に留意しながら、特に新たに利用が広がるソーシャルメディアサイト(例:LINE)についても考察の対象とする。その際には、ソーシャルメディア情報サービスを提供する企業の実態を調査する必要がある。そこで、情報サービス企業の意識や実態を把握するために、アンケートやインタビュー調査を実施し、そのための人件費や設備費、出張費などに使用する予定である。加えて、最終年度には、研究成果を社会に還元することを意識した成果公表を重視したいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた、アンケート調査のための人件費支出額がより少なく済んだことや出張予定が変更になったことによる。 調査結果をまとめるための統計処理ソフトの購入や、成果公表のための海外出張のために利用する予定である。
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